2018.04.21授業レポートUP
先生: 岩根隆二さん
半年ぶりとなった今回の北はりま大学は、小野市うるおい交流館エクラで開催しました。
久しぶりの開催にもかかわらずあっという間に定員に達し、当日欠席の方もなく、和気あいあいとした楽しい授業となりました。
今回は「包丁の研ぎ方を学ぶ」と題し、播州刃物に携わって40年という講師の岩根さんに包丁の研ぎ方を教えていただきました。
日本の包丁は鉄製で片刃というイメージですが、食の変化とともにデザインや刃のつけ方など、包丁のスタイルが変わってきたそうです。
今回は、参加者の皆さまが自宅から様々な包丁を持ち寄られ、岩根さんがひとつひとつの特徴を確認しながら、基本の研ぎ方を教えてくださいました。
また、岩根さんのご好意で包丁研ぎに必要な道具をセットしたものをご用意くださり、参加者全員にお持ち帰りいただきました!
【道具の内容:砥石(220番、1000番)、スポンジ、研磨剤付ナイロンタワシ(荒目、中目、細目)など】
包丁を研ぐ前に、砥石を水に30分ほどつけ置き、水分をしみこませます。
その間に、包丁の柄の部分を丁寧にナイロンタワシで磨きます。
特に柄と刃の接合部分には汚れが付きやすいので、菌の温床となってしまいます。
包丁も食器などと同じで食材に触れるものですから、日頃からこまめに磨くことが大切です。
柄の部分を磨き終えたら、いよいよ包丁の『しのぎ』から『刃先』の部分を研ぎます。
足を肩幅に開き、楽な姿勢でスタンバイ。
220番の荒目の砥石の上に少し斜めに包丁を置き、指2本で刃を抑え、体重をかけながらまっすぐに前後へ動かしながら研ぎます。
しばらく研ぎ続けると、刃に『まくれ』という、刃が研がれて反り返ったザラザラしたものができます。これが、研げているという証拠なんだそうです。
みなさん、『まくれ』を作るべく、必死で包丁と向き合います。
『まくれ』ができると、裏面に返し、すーっと数回研いで『まくれ』を取り除きます。
砥石の番手を1000番に変え、同様に研いだら、最後に新聞紙で包丁に残った研ぎカスを拭うと仕上がりです。
仕上がった包丁は、新聞紙が簡単に切れてしまうほどの切れ味に…
ピカピカになった包丁を見ると、気持ちが晴れやかになり、料理の腕前まで上がったような錯覚に陥りました。
お気に入りの道具を手入れし、長く大切に使う…
地味で古風な暮らしと思われるかもしれません。
しかし、モノと徹底的に向き合うことで、暮らしの知恵や技が身に付くのではないかと思います。
今回の授業を開催するにあたり、小野市は刃物やそろばん、竹かごなど、たくさんの伝統工芸品があり、職人の町なのだと改めて知ることができました。
播磨に暮らしていても、まだまだ知らない地場産業がたくさんあります。
北はりま大学で、北播磨の魅力を多くの方に発信していきたいと感じる1日となりました。
(授業レポート:笹倉/写真:伊藤)