北播磨の場所イラスト

北はりま大学

  • 小野圭耶
    1985年生まれ西脇出身。
    高校時代に播州織の職人との出会いから、専門学校卒業後、産地企業に入社。
    欧州の視察をきっかけに衰退する繊維産地とファッションとの距離に疑問を持ち、同世代の職人との取り組みや勉強会を開催するなど、次世代のコミュニティを広げている。
    産地発信ブランド「hatsutoki」のテキスタイルデザイナーとしてシャツを中心に展開。
    同時に365日毎日着る衣服の原料である綿花栽培プロジェクト「サブロクコットン」主宰。

服は畑からできている

綿織物を主とする「播州織」の産地で、「服は畑からできている」を合い言葉に、綿花栽培プロジェクトに取り組む若手テキスタイルデザイナーがいる。
小野圭耶さん。
北はりま大学、12月の授業を担当してくださる先生だ。

その活動の様子と、小野さんの思いを知りたくて、活動現場にお邪魔した。

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11月中旬の雨上がり。
背丈ほどのわさわさとした葉っぱの中、チラホラと白いものが見える。
コットンだ。
ここは小野さんたち365コットン(サブロクコットン)のメンバーが世話する綿畑。
畑と古民家を借り、活動拠点にしている。

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温故知新

遠い昔は西脇でも盛んだった綿栽培だが、今では国内生産はされていないに等しい。
そんな中、播州織の機屋さん(はたやさん:織り物職人さん)が、栽培を始めた。
きっかけは、オーストラリアからのお客様に
『綿織物の産地なのに、どうして綿が咲いていないの?』と質問されたことだった。
それから十数年。その活動に、小野さんたち若い世代が新たなアイデアをプラスし、始めたのが365コットンだ。

365コットンでは、綿栽培を年間通してのワークショップにし、フェイスブックなどで参加者を募っている。
月に1回、畑の世話などをする。
季節に合わせたイベントも取り入れている。地元で採れた旬の食材を使ったバーベキューや、ピザ作り、芋煮会などさまざま。
畑仕事の疲れもぺこぺこのお腹も癒される。
地元の方々が食材を提供してくださったり、調理してくださったりと、様々な形でサポートしてくれる。
先輩世代が培ってくれた人脈のおかげだ。

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参加者には大阪や京都など、都会からのお子さん連れの姿もあった。
老若男女、田舎育ちも都会育ちも関係なく、みんなで感動を分かち合う。
都会の子供達にとっては、月1度の田舎体験にもなっている。
この子達が将来、コットン栽培を継承していってくれるかもしれない。

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「食育」ならぬ「服育」に繋がれば、と小野さんは言う。
服や、その素材であるコットンが、手間ひまかけて作られていることを知ってもらいたい、と。
コットンができた時の感動を共有し、服を愛でる気持ちを育んでいく…それはまさに「服育」だろう。
服作りに携わる小野さんならではの視点かもしれない。

自分が感動することが正解

−−この活動をするうえで辛い事は何でしたか?

「夏の雑草と蚊などの虫や暑さとの戦い」
「だからこそ、夏のバーベキューなどのイベントは大切!」とメンバーは口を揃える。

辛い時期の活動にも参加してもらうため、楽しみもパッケージングしておくのは素敵な工夫だ。
辛さを経験すると、花が咲いたとき、実がなったとき、綿がはじけたときの喜びは一層大きくなる。

−−では、楽しいなと感じたことは何でしたか?

「先輩たちがそれまでに育ててきたコットンを譲り受け、そのコットンと自分たちが育てた綿を製糸工場に持ち込み、糸にしてもらったんです。
その糸を織り物にし、手ぬぐいを作りました。
それを、いつもサポートしてくれる先輩たちにプレゼントしたんです。
その時、みなさんが喜んでくれたことが本当に嬉しかったです」

そう言いながら自然と笑みがこぼれた。

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先輩世代に助けられるのは、綿花の育て方や、畑の世話、イベントに関する事だけではない。
しんどくなって、やっている事に価値があるのか分からなくなることは、誰にもある。
本当にこれで良いのか迷ったとき、小野さんが判断の基準にしている事がある。
「自分が感動することが正解」。

自分が感動する事を信じて行動する、それがきっと正解なのだと。
先輩の姿から感じ取ったことのひとつだ。

あまり気負った様子を見せず、自然体。
淡々とした印象をも与える小野さんだが、心の中の熱いものをかいま見た気がする。
「次はシャツを作ろうとしているんです。」
播州織で作られる、代表的なアイテムだ。生地はもう、できているらしい。
コットンを栽培し、糸にし、織り、服に仕立てる。ロットは小さいが、一連のプロセスが繋がる。
365コットンは綿栽培から、服作りまでを一貫して行うプロジェクトへと進化しようとしている。
内に秘めた熱い思いは次のステップへと続いていく。

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北はりまのお気に入りスポット

『北はりま大学』では、北はりまの魅力をもっと知ってもらい、
新しい繋がりや、更に魅力ある地域にして行くためのキッカケを作りたい。
その一環として、先生を引き受けてくださった方のお気に入りスポットを紹介する。
今回はその第2弾。

小野さんのお気に入りスポットは「キャロットハウス」。西脇市にある喫茶店だ。
「なんだか安心する」というのがその理由。お客さんにとても愛されているお店だと感じるそう。
深く愛され続けるその秘密を、あなたにもぜひ、探りに行ってほしい。

 

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ガクチョーコラム

  • 2017.06.09

    北はりま大学での先生は、先生を生業としている方ではなくて、普通の街の人です。 でも、その人はスゴい特技を持っていたり、 メチャクチャおもしろい考えを持っていたり、 とんでもない経験者だったりするんです。 6月の授業は、「世界に一つだけのミニオカリナ(ペンダント)をつくる」なんですが、 今回先生をしてくださる瀬川さんは、西脇市郷土資料館に勤務されている方で、 たまたま、「ミニオカリナを作ってる方がい ...