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北はりま大学

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2016.08.02レポートUP
先生:大西久善さん(やしろの森公園活動スタッフ)

大自然の中でそば打ち体験
ーやしろの森の匠から、そば打ちの極意を学ぶー
(打ちたて蕎麦の試食付き)

今回の授業は、ため池や田畑などが点在する自然豊かな里山「兵庫県立やしろの森公園」を教室にして行いました。
先生は、そば打ち歴10年。素人そば打ち三段位の大西久義さんです。

まず、皆さんに母屋囲炉裏周りへ集合していただき授業の流れをご説明する所からスタート。

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<授業の流れ>
●先生にそば打ちのデモンストレーションをしていただき、みんなで打ち方を勉強。
●そば打ち体験班と、足踏み脱穀機・唐箕(とうみ)体験班の2班に分かれて体験。
●全員のそば打ちが終わったら、打ち立てそばを茹でる。
●囲炉裏を囲み、みんなで試食。

最初は、先生のそば打ちデモンストレーションをしていただき、その後みなさんで実践です。
大きな鉢の中に、そば粉と小麦粉を合わせ少量ずつ水を入れながら、最初は手になるべくひっつかないようにまぜていきます。

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実はこの水分量が大変難しく、朝・昼・晩と打つ時間帯でも変える必要があるという繊細なものだそうです。
先生はそばを打ちながら、こんなお話をしてくださいました。

「鉢(捏ね) 3年、延し(板) 3ヶ月、切り 3日」

そば打ちではこのように言われているそうです。
ということは、この工程は「鉢」。
習得に3年かかってしまう難しいものだということです。
これを聞いた生徒さんからは、「え~」という声が漏れていました。

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進めていくにつれ、ただの“粉”だったものがキレイな一つの塊へと変わっていきました。
菊練りと呼ばれる菊の形になり、そこから三角すい~円形の形へと変わり、いよいよ板の上で伸ばす「延し」の工程へと移っていきます。

延しの工程は、まず厚さ1cmまで手の平で伸ばしていきます。
力が必要で、なかなか思い通りに伸びてくれません。
そばの特性で、一度伸びたものは元に戻らないと先生から聞くと、皆さんの表情がより真剣になります。
1cmの厚みになったら、いよいよ麺棒で5mmの厚みになるまで伸ばしていきます。

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麺棒の使い方にもコツがあり、
直ぐに使いこなせてしまう方、大苦戦される方などさまざまでした。

 

そして、最後はそば打ちのクライマックス!
そば包丁を使用し、伸ばした生地をたたんで切っていきます。

皆さん“そば包丁”を使用するのは初めてで、
最初は使いづらそうにされている方もいらっしゃいましたが、
どんどん上達され、包丁がのし板に当たる音も“トントントントン”と次第に軽快な音へと変わっていきました。

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出来上がりは、少し太めなそばや、細めなそばなど多種多様で、
手打ちならではの味のある個性豊かなそばが出来上がりました。

 

そば打ち体験班が、そばを打っている間は、
足踏み脱穀機・唐箕(とうみ)体験班が貴重な体験をさせて頂きました。

“足踏み脱穀機”も“唐箕(とうみ)”も、昔は農家などで一般的に目にすることができるものでしたが、
現在では、博物館などでないと目にすることは難しいかもしれません。

今回は、やしろの森公園スタッフの伊藤さんに使用方法を教えていただきながら体験することができました。

この体験には、公園内で今年初めて栽培された夏そばを使用しました。

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まず、足踏み脱穀機の胴部分に、そばの実部分を押しつけ穂から実をそぎ落とします。
足踏みにもコツが必要で、油断すると回転が逆になってしまったり、思い通りにいきません。

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皆さんで頑張って実を取り出し、
次は唐箕を使用する工程に移ります。

この唐箕の使用方法は、手前のレバーを一生懸命回し、勢いがついた所で先程の実を投入口に入れます。
そうすると、送風によりわら屑等と籾を選別してくれます。
重い実は下に落ち、軽い屑等は勢いよく外へ飛んでいきました。

「この機械上手くできているな~」
脱穀機・唐箕ともに、先人の知恵と技術に感嘆の声も上がっていました。

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体験終了後は、
いよいよそばを茹でて試食です。
茹で具合は先生に確認していただきながら、次々と出来上がっていきます。

そして囲炉裏を囲み、みんなで試食です。
スタッフも授業終了後に頂きましたが、今まで食べたどの“そば”よりも美味しかったです!
(お世辞でもなんでもありませんよ!)

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そば打ちは、時間がかかりましたが、
その分、食した味は格別だったに違いありません。

風を感じ、太陽の光を感じ、自然の音を感じる。
そんな中でのそば打ちは、普段なかなか味わえない貴重な経験になったのではないかと思います。

(授業レポート:伊藤/写真:笹倉・伊藤)

2016.07.23