2016.3.12 レポートUP
先生:富久錦株式会社さん
加西市にある富久錦株式会社では、地元産のお米を100%使用した純米酒にこだわり、お酒づくりをされています。
純米酒とそうでないお酒の違いって…?なぜ純米酒づくりにこだわるの…?今回は富久錦の純米酒ができるまでと、純米酒へのこだわりを、酒蔵見学を通して教えていただきました。
お酒を「飲む」楽しみ方に加えて、お酒を「知る」楽しみ方ができた講義となりました。
酒蔵に併設されている「ふく蔵」さんで、まずは今回の講師である富久錦株式会社社長 稲岡さんにごあいさつ。
その後、稲岡社長の案内のもと、酒蔵の中を見学させていただきました。
「ふく蔵」さんはもともと仕込み蔵だったということで、梁や柱は昔のままなのだそうです。とても雰囲気のある建物で、1階にはギャラリースペースがあり、地域と創作活動がつながる場として活用されています。2階にはレストラン・カフェがあり、講義当日もたくさんのお客さんで賑わっていました。
-酒蔵見学-
いよいよ酒蔵見学へ。
参加者のみなさまのほとんどが酒蔵見学は初めてではないでしょうか。とても貴重な体験です‼︎
-日本酒づくりの基本的な行程-
精米→お米を蒸す→(麹を作る)→酵母菌を加え酒母を作る→発酵→お酒をしぼる→お酒の出来上がり
-お米について-
富久錦のお酒は、お米を100%使用した純米酒。お米(米麹を含む)以外には水しか使っていないそうで、ジュースで言うところの、果汁100%と同じことなのだそうです。このお米に含まれるでんぷんが様々な行程を経て、2ヵ月もの時間をかけてお酒になります。
また、富久錦のお酒には、地元加西市産のお米しか使われていません。
北播磨はとても品質の良いお米の生産地であり、お酒づくりには欠かせない山田錦の名産地です。そのお米を使わないと意味がない!また、加西市産のお米を使うことで、地元農家さんへ貢献したい!という稲岡さんの思いがあり、平成8年より完全に加西市産のお米のみを使用されています。
富久錦のお酒には、山田錦以外にも、きぬひかりなど、全部で4種類のお米を使ってお酒づくりが行われているそうです。
お米の味の特徴についても教えていただきました。
山田錦…華やかできりっとしている
きぬひかり…味わい深い
-麹づくり-
富久錦のお酒は、機械の使用を最低限にし、ほぼ手作業で作られています。
麹をつくる作業も、昔ながらの製法で丸2日かけて手作業で行われているそうです。
たくさんの人の手が加わって、ていねいにお酒が作られているんですね。
-発酵-
お米と米麹からお酒のもと(酒母)ができると、酵母菌によってアルコールが少しずつ増えていきます。これをさらに発酵させると、お酒になります。
富久錦の酒蔵にはたくさんのタンクがあり、中にはもうすぐ飲み頃を迎えるお酒が…。
お酒の香りに包まれて、すっかり良い気分に。
-お酒をしぼる-
お酒の出来上がりを見極めるのは、糖度、酸度、アミノ酸度を分析して、熟成度を見てしぼるそうですが、最終的にやはり味を見て決めるそうです。
酒蔵見学の途中、なんと年に3回しか行わないという、「しずくしぼり」の行程を見ることができました。
お酒をしぼる段階まできた時に、圧力をかけずにじんわりと袋からにじみ出るしずくだけを集めてできる「しずくしぼり」のお酒はとても貴重なもの。一口だけでも飲んでみたいものです。
酒蔵見学を終え、お酒のテイスティングへ…のはずでしたが、みなさまお車でお越しのため、残念ながらできませんでしたが、「ふく蔵」さんで製品の説明をしていただきました。
飲みやすいフルーティなお酒から、まろやかなコクのあるお酒、凛とした吟醸酒まで、たくさんの種類がありました。お気に入りの一品が見つかりそうです。
-講義を終えて-
稲岡社長の純米酒へのこだわり。お米を100%使用すると、どうしてもコストが上がります。それでも、加西市のお米をフルに使って、混ぜもの無しの美味しいお酒を作りたいという純粋な思いから、純米酒づくりをされていることが伝わってきました。
また、北播磨は美味しいお米の産地であり、綺麗な水にも恵まれています。自然の豊かさ、ありがたさを改めて実感できる機会となりました。
講義終了後は、参加者のみなさまと2階のカフェでミニ交流会となりました。
北はりま大学に参加いただくみなさまは、年齢も地域もさまざま。もちろん初対面の方がほとんどですが、そこが良いところでもあります。
北播磨の良いところを知り、そこで出会った人とのつながりを大切にしたいと感じる1日でした。
(授業レポート文:笹倉・写真:伊藤)